この間の休みは以前から気になっていた『小田切八景』を探索しに行ってきました。
これは「明治44年に小田切小学校同窓会7周年記念事業として、村民の民意を問い近江八景になぞらい選定されたもの」だそうです。
八景それぞれの場所にはタイル張りの碑があり、県歌である信濃の国の作詞家「浅井冽」さんの和歌が添えられています。
小田切周辺はそれなりに走り回っているつもりでしたが、八景は「三かまど神社の仙境」の1ヶ所しか知りませんでした。
ということで、まずは情報収集から始めます。
これが思ったより大変でした。
古い観光資源のせいか、ネット検索やSNSからは断片的な情報のみ、Google Mapには情報なし、周囲の方も聞いたことがないレベル。
インターネットで必死に調べた結果、7ヶ所まで名称が判明しました。
その内4ヶ所は場所が特定できましたが、残りは所在不明。
うぅむ、困った。
これはお手上げ案件か??
小田切支所に行ってみたら資料があるんじゃないか?というアドバイスを貰っていたので、最終はそこに頼ってみるか...
そんなことを思いながらネットサーフィンの日々。
そしてある日、何のキーワードに反応したかは分かりませんが、唐突に小田切八景の情報を入手!!
よっしゃぁぁぁ!
と思ったけど!!
この地図、結構大雑把に書いてあって正確な位置がわからない!!!
山の中を闇雲に走って探すわけにもいかないし、ルートをしっかり引いて走らないと危険な予感。
ということで、何となくの位置を参考にGoogle Mapのストリートビューで確認。
1ヶ所ずつ探し当てていきます。
地道な探索の結果、全ての場所が判明。
座標をまとめ、Googleマイマップに落とし込みます。
この情報を元にルートを引いてみます。
走行距離に対しての獲得標高が高いのが気になるが...なんとか完成!
これで下準備は完了、あとは走るだけ!
そして当日。
朝5時起床、6時15分出発。
気温は15℃と快適。
以前から悩んでいた膝痛の問題。
今回はサドルを大分下げた状態で走ってみます。
まずは国道19号線を西へ。
小田切ダム手前の細い道、平和観音方面へ上っていきます。
いきなり怪しい上り口...
ちょっと進むと、路面状況は最悪(笑)
このまま森の中に入っていきます。
デンジャラスロード...
大丈夫か、コレ。
細い道を黙々と上ります。
平均斜度は10%!
開始早々キツイ(笑)
1.5kmほど進むと木々が開け、馬神古墳群の案内看板。
そしてそこから少し進むと、道沿いに1つ目の八景を発見!
『七ツ石の落雁』
ー 秋風に吹きおくられて遠つ人 常世のかりの声ぞ落ちくる ー
碑の周囲には大きな石が7つありました。
何やら伝説的なものがあるらしいです。
さっと写真を撮り、先へ進みます。
次は左方面。
相変わらず危険なニオイがプンプンします(笑)
進んでみると、案の定。
木に深く覆われ、ほとんど車の通らない道。
路面には草木が散乱、獣捕獲用の檻が設置されていたり。
写真だと明るいですが、実際はもっと暗めで不気味です。
一人だと心細い!!
1kmほど進むと目的地の入り口に到着!
碑は吉窪山城址付近にあるようなので、歩いて向かってみます。
道のりは急勾配の未舗装路!
クリートで上る道じゃねぇ...
上っていくと、鳥居が見えてきました。
鳥居をくぐると、2つ目の八景を発見!
『城山の秋月』
ー あとふりて松風寒き城山の 昔を語れ秋の夜の月 ー
碑のすぐ前には城跡。
こんな山奥に城があったなんて知らなかったなぁ。
さっと写真を撮り、退散します。
ここから2kmちょっと下り、小田切ダム前の両郡橋へ。
ここが3つ目の八景。
『両郡橋の帰馬』
ー 駒引てとどろと渡る犀川の 夕日色どる虹の長橋 ー
よく通る道ですが、ここが八景に含まれているなんて調べるまでは知りませんでした。
碑は歩道橋の脇にひっそりとあります。
現在の橋は4代目らしく、八景に選定されたのはおそらく初代の橋。
3代目の橋の台座らしきものが歩道橋の横にありますが、初代の橋もこの辺に掛けられていたのでしょうか。
さて、一旦下界に下りてきましたが、ここからまた山へ入っていきます。
犀川北側の道路を進みます。
この時点で出発から約1時間。
次は下宮野尾方面へ上ります。
この道は先ほど通った道とは打って変わって良い道。
次の目的地までの平均斜度は10%ですが...笑
1.6kmほど進むと、水内鎮神社の境内に4つ目の八景を発見!
『水内鎮神社の夜雨』
ー み社の老木の森はものふりて 淋しさそふる夜半の雨かな ー
かなり古そうな神社ですが、御柱祭も行われるようです。
さて、先を急ぎます。
次の目的地はこの沿線上にある三福寺。
1kmちょっと進むと見えてきます。
平均斜度は下がり、5.5%ほど。
10分程で到着。
5つ目の八景は、お寺の真ん前にありました。
『三福寺の晩鐘』
ー かげろひの夕日かたむく山寺の 鐘の音よりや暮れそめにけん ー
7時半頃の到着でしたが、中からお経が聞こえてきました。
まだまだ山は続きます。
1.5kmほど進んだところで県道401号線に合流。
西に少し進んだところで再び細い道に...
平均斜度9%を1km、2%を1kmほど進むと分岐路に到着。
目指す小野平は凍結防止の先...嫌な予感...
上り始めると、斜度15%前後!!
本日最高値です(笑)
距離は400mくらいだったので、なんとかなりました。
もう少しで次の目的地です。
キャベツ畑を抜けると...
6つ目の八景に到着!
『小野平の晴嵐』
ー 打ちわたす尾上の松に立なびく 嵐のかけし秋の朝ぎり ー
碑は浄蓮寺の手前にありました。
碑のある場所からは小野平を見渡せます。
この道ももう少しで頂上です。
このまま上りきり、一旦裾花川方面へ下ります。
進む道は、相変わらずの細い道...
構わず進んでいきます。
平均斜度11%、距離1km。
ささっと抜けてしまいましょう。
上り切ると次は下り。
道が開け、綺麗な景色とご対面。
これでひとまず安心。
東へ進みます。
次の目的地は三かまど神社なので、裾花大橋を越えたところから上っていきます。
この道、何度も下ってはいますが、上るのはこの日が初めて。
距離1.6km、平均斜度9.5%、結構キツイ。
ゆっくりとペダルを回し、目的地に到着。
ここで小腹が空いたので補給食をいただきます。
食事を終え、境内へ入っていきます。
鳥居をくぐって少し進むと、7つ目の八景。
『三かまど神社の仙境』
ー みかまどの神の宮居は世の中の ちりも及ばぬところなりけり ー
ここの碑だけ書体が違うのは...
貼り換えたのだろうか?
この神社はお善鬼様として地域住民に親しまれてきたようです。
神社の名前の由来となった三つの洞穴というものがあるようですが、どこにあるのかわかりませんでした(泣)
洞穴は虫倉山まで通じているという伝説があるみたいです。
さて、先を急ぎます。
次がいよいよ最後の八景!
一旦上り、小田切郵便局まで進みます。
そこから県道401号線を2kmちょっと進み、途中の小道に入ります。
ここが本日最後のデンジャラスロード...
距離3km、平均斜度は8%超え。
ギアを軽くして、くるくる~っと漕いでいきます。
すると、上から車が下りてきました。
乗っていたおじさんに声を掛けられます。
「上まで行くの?結構距離あるよ。気を付けてね!」
「頑張ります!ありがとうございます!」
と返します。
一回下ったことあるから、何となく斜度があって距離があるのは覚えてる。
そしてエライ不気味だった印象も...
黙々と漕いでいきます。
緑が深い。
この日は晴れていたせいか、前ほどの不気味さは感じず、案外快適に上っていけました。
そして遂にテッペンに到着!
ここは2年振りの訪問です。
この建築物は元小田切村立小鍋尋常小学校の玄関を移築し、休憩所として利用されています。
明治42年に作られた小学校の玄関らしいですよ。
ベンチから見える景色。
木で遮られなければいい景色が拝めると思うんだけどなぁ。
さて、最後の八景ですが、お社へ向かう道沿いにあります。
これが8つ目の八景。
『富士の塔の晩霞』
ー 咲く花を風のこころにまかせじと 山たちかくす夕霞かな ー
お社へ上る途中、開けた景色を見ることが出来ました。
上ったなぁ~。
上まで行くと、人だかりが...?
何やら地域の行事を行っているようで、近づけませんでした。
お社と案内板がありましたが、見られず。
運ないなぁ~。
しかし、これで小田切八景コンプリート!!
あとは無事に帰宅するだけです。
時刻は10時過ぎ。
ちょうど4時間かかりました。
事前に引いたルートだと逆走して小鍋方面から帰る予定でしたが、そのまま前進し、平柴方面から帰ります。
距離7kmちょっと、平均斜度8%のダウンヒルです。
最後に記念撮影をし、出発!
相変わらず道は狭いです。
途中、マウンテンバイクのライダーさんに出会い、少し雑談。
同じ趣味同士、話が弾みます。
ロードとマウンテンじゃ全く楽しみ方が違って面白いですね。
山の中に自転車で入って下って行くなんて、私には怖くてできないです...
お互いに安全を言い合い、別れます。
長いダウンヒルを終え、人里へ。
安心感が違う...笑
国道19号線を西へ向かい、無事帰宅です。
本日一日で周り切った小田切八景。
およそ100年ほど前に制定されたそうです。
現在も全ての碑が残っていることには驚きました。
しかし情報が少なく、調べるだけでも凄い労力...
加えて「悪路」「急勾配」「不気味」の連続。
色々大変でした!!
自転車で行くものではないかもしれませんが、車で行くにしても道が狭く、なかなか訪れるのは難しい場所だと思います。
是非行ってほしいとオススメはできませんが、
小田切の歴史に触れ、
所々で見られる綺麗な景色、
厳しいながらも楽しめた坂道、
全ての八景を訪れた達成感、
私的には満足なライドでした。
そしてライド後の膝痛は全くなし!
やはりサドルを上げ過ぎていたことが問題だったようです。
数cm、数mmで変わってくるので、ポジションって難しいですね。
走行距離:48.35km
平均速度:13.6km/h
平均ケイデンス:67rpm
走行時間:3h33m18s
上り平均斜度:7.7%
上り獲得標高:1587m
総時間:4.5h